マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
転ばないように気を付けながら階段を下りる。エレベーターを使わないのは、万が一にカミナリで停電になって閉じ込められたら嫌なのと、真っ青になっているだろう今の自分を誰にも見られたくないから。
一階下に降りた私は廊下の突き当たりにある資料室へと飛び込んだ。
ホッと力を抜いた途端
ピカッ―――
「きゃあっ」
カーテンの隙間から漏れた閃光に、思わず悲鳴を上げる。
この資料室は窓がないわけではない。遮光カーテンが引かれているものの、その隙間から差し込む光までは防ぐことが出来ない。
本当なら窓のない給湯室に駆け込みたかったけれど、この時間は人の出入りが多い。
そんなところに青白い顔のままずっと籠っているなんて、怪しすぎること間違いない。
(『雪女はカミナリが怖い』――なんて、またあちこちで噂されたら堪らない)
仕事のことならともかく、プライベートな自分の実態を面白おかしく噂されるなんて絶対嫌。
黒くて分厚いカーテンが引かれている窓から、一番離れたラックの角で、窓を背に顔を伏せる。
『調べものを』と言って出てきた手前、一応目の前に並ぶファイルの中から適当に一冊抜き取ろうとした時
ゴロゴロゴロ――
「いやっ」
大きな音に慌てて両耳を塞いでしゃがみ込む。取り出だしかけたファイルが、バサリと音を立てて足元に落ちた。
ガチャリ、扉が開く音が聞こえた。
一階下に降りた私は廊下の突き当たりにある資料室へと飛び込んだ。
ホッと力を抜いた途端
ピカッ―――
「きゃあっ」
カーテンの隙間から漏れた閃光に、思わず悲鳴を上げる。
この資料室は窓がないわけではない。遮光カーテンが引かれているものの、その隙間から差し込む光までは防ぐことが出来ない。
本当なら窓のない給湯室に駆け込みたかったけれど、この時間は人の出入りが多い。
そんなところに青白い顔のままずっと籠っているなんて、怪しすぎること間違いない。
(『雪女はカミナリが怖い』――なんて、またあちこちで噂されたら堪らない)
仕事のことならともかく、プライベートな自分の実態を面白おかしく噂されるなんて絶対嫌。
黒くて分厚いカーテンが引かれている窓から、一番離れたラックの角で、窓を背に顔を伏せる。
『調べものを』と言って出てきた手前、一応目の前に並ぶファイルの中から適当に一冊抜き取ろうとした時
ゴロゴロゴロ――
「いやっ」
大きな音に慌てて両耳を塞いでしゃがみ込む。取り出だしかけたファイルが、バサリと音を立てて足元に落ちた。
ガチャリ、扉が開く音が聞こえた。