マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
【TohmaBeer-Hopping】の地方都市の追加開催が決定された当日。
戸惑う大澤さんと興奮する幾見君、その二人とは対照的に感情を表に出さない高柳さんと、これからの段取りや進行を話し合った。
その日は具体的な動きは無かったのでいつもとあまり変わらない時間に帰宅することが出来た。―――が、次の日からは怒涛のような業務の波にのまれることになる。
週明けからの残業三昧。やってもやってもどこからともなく湧いて出てくる仕事。
新たに開催地に追加された仙台、名古屋、大阪、福岡の各支店へはまだ正式に発表していない。それぞれの支店長にはホールディングスからの通達が入っているが、グループ各社を併せ、現場への正式発表は二週間後の来週月曜日になっている。
正式発表はここトーマビール、マーケティング本部の企画本部から行う。
その準備と同時に、すでに始動している首都圏チームからの問い合わせなど、対応に追われる二週間だった。
ちなみに、あの日矢崎さんからの誘いを断った後、携帯をサイレントモードに切り替え、翌日には新しい携帯へと乗り換えた。
その後社内メールの方に連絡が入っていたが、業務以外のことはスルーして返信しておいた。
まどかに新しい携帯の番号とアドレスを送るついでに、手短にその話をすると、《だから言ったでしょ!》と叱られた。まどかは昔から、会ったこともない矢崎さんのことをなぜか気に入らない様子だ。
ちなみにまだまどかには、高柳さんとの同居のことを話していない。停電の無事を伝えた後、なんだかバタバタしているうちに、タイミングを失ってしまった気がする。