マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
(わ…笑った!?)
滅多に見ることの出来ないその表情に、思わず目を奪われる。
高い位置にあるその顔に釘付けになっていると、すぐに元の無表情に戻った彼は私に向かってこう言い放った。
「確かに、仕事中の青水はしっかりしている。少しの隙も見当たらないくらいだ。お陰で俺も仕事がしやすい」
「あ…ありがとうございます?」
今はプライベートで、ここはショッピングモールの通路だ。
思わぬ褒め言葉に、頬がじわりと熱くなる。だが、次の言葉に耳を疑った。
「だが、プライベートは別人だな……」
「え?」
「少し抜けているところがあると、言われたことはないか?」
「………」
沈黙せざるを得なかった。
『ゆっかちゃんは時々びっくりするくらい抜けてることがあるよね』
親友がよく口にし、あとに続くお決まりの言葉が頭の中に浮かんだ。
『一人にしておくのは心配よ』
「一人にしておくのは心配だな」
頭の中に浮かんだ親友の声と、上から降ってきた低い声が重なった。
勢いよく隣を振り仰ぐと、奥二重の瞳と目が合った。
「なんだ、そんなに驚いて」
「いえ……なんでもありません」
「そうか。じゃあさっさと用事を済ませよう」
「用事?」
「ああ。混んだら面倒だからな」
そう言って歩いて行く高柳さんに黙って着いて行く。
滅多に見ることの出来ないその表情に、思わず目を奪われる。
高い位置にあるその顔に釘付けになっていると、すぐに元の無表情に戻った彼は私に向かってこう言い放った。
「確かに、仕事中の青水はしっかりしている。少しの隙も見当たらないくらいだ。お陰で俺も仕事がしやすい」
「あ…ありがとうございます?」
今はプライベートで、ここはショッピングモールの通路だ。
思わぬ褒め言葉に、頬がじわりと熱くなる。だが、次の言葉に耳を疑った。
「だが、プライベートは別人だな……」
「え?」
「少し抜けているところがあると、言われたことはないか?」
「………」
沈黙せざるを得なかった。
『ゆっかちゃんは時々びっくりするくらい抜けてることがあるよね』
親友がよく口にし、あとに続くお決まりの言葉が頭の中に浮かんだ。
『一人にしておくのは心配よ』
「一人にしておくのは心配だな」
頭の中に浮かんだ親友の声と、上から降ってきた低い声が重なった。
勢いよく隣を振り仰ぐと、奥二重の瞳と目が合った。
「なんだ、そんなに驚いて」
「いえ……なんでもありません」
「そうか。じゃあさっさと用事を済ませよう」
「用事?」
「ああ。混んだら面倒だからな」
そう言って歩いて行く高柳さんに黙って着いて行く。