マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
「堂本君!お久しぶりね。こんなところで会うなんて驚いたわ」
「僕もです。おーみさんはお買い物ですか?」
「うん、そう」
「お一人で?」
「あ~……実は一緒に来た人とはぐれちゃって」
「そうなんですか?すごい人ですもんね。大丈夫ですか?」
「うん、ありがとう。さっき電話したら電話中だったから、そろそろもう一度かけてみようと思っていたところなのよ」
言いながらさっき鞄の中に戻したスマホを取り出して彼に見せようとした、その時――
スマホを持っていた手が横からぐいっと引かれた。
「見つけた」
振り向くと高柳さんがいた。
「あ、」と言うと同時に掴かまれた腕を引かれ、その勢いで彼の体に軽くぶつかる。
慌てて離れようとしたところ、伸びてきた腕が腰に巻きついた。
「妻に何か用ですか?」
私が驚きの声を上げるより早く、高柳さんがそう言い放った。