マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
「ど、どこに…」
「二人きりで話が出来るところだ」
有無を言わさずグイグイと進んで行く矢崎さんを止めようと、足に力を入れて踏ん張るが、しょせん男性の力には勝てるはずもない。引きずられるようにして私は進んで行く。
「ちょっと待ってくださいっ……」
きちんと話しをしなければいけないとは思っていたが、こんなに急にしかも一方的にどこかに連れて行かれるなんて不安しかない。
なんとか踏みとどまろうとすると足がもつれ、体がよろめいた。
「きゃっ」
転びかけた私の体を後ろから誰かの手が支えた。
「雪華さん!」
私の腕を掴んで転ぶのを防いでくれたのは、幾見君の手。
「危なかったですね、雪華さん」
「ありがとう……」
私がホッと肩を撫で下ろすと、反対側の手首を掴んだままの矢崎さんは、そのままジロリと幾見君を睨みつけた。
「なんだ…お前、本部のやつか」
「あなたは確か…第三支店の矢崎さん」
「ああ」
そう言ったきりなぜか私を挟んだ男性二人は黙っている。
「その手を離してくれないか、これからこいつと用があるんだ」
「離すのはそちらじゃないですか?雪華さんは嫌がっているように見えましたけど」
「なんだと?」
二人の目が更に鋭くなる。
私はそれぞれに両手を掴まれたまま、おろおろとしていた。
「二人きりで話が出来るところだ」
有無を言わさずグイグイと進んで行く矢崎さんを止めようと、足に力を入れて踏ん張るが、しょせん男性の力には勝てるはずもない。引きずられるようにして私は進んで行く。
「ちょっと待ってくださいっ……」
きちんと話しをしなければいけないとは思っていたが、こんなに急にしかも一方的にどこかに連れて行かれるなんて不安しかない。
なんとか踏みとどまろうとすると足がもつれ、体がよろめいた。
「きゃっ」
転びかけた私の体を後ろから誰かの手が支えた。
「雪華さん!」
私の腕を掴んで転ぶのを防いでくれたのは、幾見君の手。
「危なかったですね、雪華さん」
「ありがとう……」
私がホッと肩を撫で下ろすと、反対側の手首を掴んだままの矢崎さんは、そのままジロリと幾見君を睨みつけた。
「なんだ…お前、本部のやつか」
「あなたは確か…第三支店の矢崎さん」
「ああ」
そう言ったきりなぜか私を挟んだ男性二人は黙っている。
「その手を離してくれないか、これからこいつと用があるんだ」
「離すのはそちらじゃないですか?雪華さんは嫌がっているように見えましたけど」
「なんだと?」
二人の目が更に鋭くなる。
私はそれぞれに両手を掴まれたまま、おろおろとしていた。