マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
「青水に触れるな」

反対の腕は私の肩に回され、彼の体へ引き寄せられる。

「なっ!」

「割り込んでいるのはお前だ、幾見」

私と幾見君は同時に目を見開いた。

目を見開いたまま高柳さんを見上げると、彼はまっすぐ幾見君の方を向いたままこう言葉を続けた。

「彼女は俺のものだ。悪いが幾見にはやれない」

ピカッ――

高柳さんの横顔が閃光に照らされる。

さっきからずっと止まらない震えは、私を抱き寄せている高柳さんには隠しきれない。
彼はまるで「大丈夫だ」というように自分の厚い胸板と腕で私を囲いこんだ。

「行くぞ」

高柳さんは私の肩を抱いたまま歩き出す。立っているのがやっとの私は、促された方へ動くだけ。

ゴロゴロゴロ――
「ちょっ、待って…雪華さん!!」

後ろで幾見君が何か言ったような気がしたけれど、迫りくる雷鳴にかき消され、私の耳には届かなかった。




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