マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
私を両腕に抱えたまま高柳さんはどうやったのか鍵を開け部屋の中に入り、そのままリビングを抜け私の部屋へと一直線に向かう。
徐々に近づく雷鳴に体の震えは増すばかりで、抱えられて運ばれている間も羞恥よりも恐怖が勝ち、彼の首に腕を回してしがみついていた。

「開けるぞ」

彼は短く断りを入れ、寝室のドアを開けた。

そっとベッドの縁へ私を下ろすと、足早に窓に近付いて遮光カーテンを引く。
そしてすぐにこちらに戻ってきた高柳さんは私の目の前に跪くと、私の足先を手で掴む。
左右片方ずつ丁寧に脱がされていく靴を見ながら、自分が靴を履いたままだったことにやっと気付いた。

着ているコートを脱ごうとボタンに手を掛けるが、指先が大きく震えて上手くいかない。
それに気付いた高柳さんが、ボタンを外して私の腕からコートを引き抜く。

コートが無くなると急に寒気を感じて、ぶるりと肩を震わせた私に、「被っているといい」と毛布を頭から掛け、私の靴を片手に持った高柳さんが立ち上がりかけた。

その時、これまでにないほどの轟音が鳴り響いた。
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