マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
腫れぼったい瞼を持ち上げると、長い睫毛で閉じられた高柳さんの顔。
(いつのまに……)
私は眠ってしまっていたらしい。
すぐ近くにあるその綺麗な寝顔をぼんやり眺める。
(あれからずっと……?)
私は高柳さんに抱きしめられたまま、ベッドに横になっていた。
その事実に気付いた途端、じわっと体が熱くなる。
(どうしよう………)
腕の中で身じろぎしたのが伝わったのだろう、高柳さんの瞼がゆっくりと持ち上がった。
「起きたのか――」
「はい…あの………」
「気分は?痛いとか気持ち悪いところはないか?」
「……大丈夫、です」
「そうか」
高柳さんのホッとした様子に、心配をかけてしまったと気付く。
「あの…」
「ん?」
数十センチ先の瞳が柔らかい。
「もう、大丈夫です……」
「ん?」
「あの、腕を……」
『腕を解いて下さい』
そう伝えようとしたのに、反対にギュッと力を込められた。