マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
帰宅してからスマホにメッセージが入っていることに気付いた。高柳さんからだ。
【今日は遅くなる。夕飯は要らない】
それに【分かりました】と返信してからすぐにお風呂に入り、夕飯も食べずにベッドにもぐりこんだ。
(今頃さっきのひとと食事をしているのかも……)
(常務のお嬢さんと結婚……)
(次の休みにはここを出ないと……)
頭の中を色々な考えが浮かんでは消え、消えては浮かぶ。
全然眠気は訪れない。
無理矢理にでも寝てしまおうと瞼を閉じると、さっきの光景が瞼の裏に映し出される。
あまりの眠れなさに、思い切って方針転換することにした。
高柳さんが帰ってくるのを待っていよう。高柳さんが帰宅したら潔く聞いてみようと思う。
不確かなことに悶々とするくらいなら、ちゃんと確かめた方がすっきりするだろう。
(大丈夫。初めから分かっていたことよ……)
三か月前に戻るだけなのだ。何の不都合もない。
(大丈夫………私は一人で……大丈夫)
その日、高柳さんは帰って来なかった。