マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
いつもの鉄壁スタイルの彼とはどこか違う様子に気が付いて、どうかしたのかと見入っていると、目の前が突然真っ暗になった。
「わっ」
私の目が大きな掌で覆われているのだとすぐに気が付いた。驚いて声を上げた私に、低く掠れた声が降ってくる。
「そんなふうにあんまり見るな」
そんなって、どんな?と疑問に思ったすぐあと、次のセリフに目を見開いた。
「熱で潤んだ目が誘っているみたいだ」
「誘ってなんてっ」
「これ以上煽られたら我慢できなくなるだろう?」
同意を求められるような口調で言われ、(それって私の責任なの!?)と、心の中で抗議の声を上げるが音にならない。口がただパクパクと上下に動くだけ。
「弱った雪華に付け込んで、“はじめて”を奪うつもりはない」
真っ暗な視界の中、低い声だけが耳に届く。
熱のせいで耳がおかしいのかもしれない。彼の声がこれまでにないほど甘く色めいて聞こえる。何も見えないけれど、このまま食べられてしまうのではないかと思えるほど、その声は情欲に満ちていた。
「あの時は断ったが、今度は断る理由はないだろう?な、奥さん」
ふわり、と額に柔らかなものが触れた。
すぐに分かった。その感触の正体が何なのか。
「わっ」
私の目が大きな掌で覆われているのだとすぐに気が付いた。驚いて声を上げた私に、低く掠れた声が降ってくる。
「そんなふうにあんまり見るな」
そんなって、どんな?と疑問に思ったすぐあと、次のセリフに目を見開いた。
「熱で潤んだ目が誘っているみたいだ」
「誘ってなんてっ」
「これ以上煽られたら我慢できなくなるだろう?」
同意を求められるような口調で言われ、(それって私の責任なの!?)と、心の中で抗議の声を上げるが音にならない。口がただパクパクと上下に動くだけ。
「弱った雪華に付け込んで、“はじめて”を奪うつもりはない」
真っ暗な視界の中、低い声だけが耳に届く。
熱のせいで耳がおかしいのかもしれない。彼の声がこれまでにないほど甘く色めいて聞こえる。何も見えないけれど、このまま食べられてしまうのではないかと思えるほど、その声は情欲に満ちていた。
「あの時は断ったが、今度は断る理由はないだろう?な、奥さん」
ふわり、と額に柔らかなものが触れた。
すぐに分かった。その感触の正体が何なのか。