マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
「どうかしたのか?」

ノブに手を掛けたまま固まっている私に、運転席から声が掛かる。

「い、いえ…なんでも」

―――ピカッ

「きゃっ」

二度目のそれに、私は短い悲鳴を上げ耳を塞いで縮こまった。

「……もしかして、カミナリが怖いのか?」

さっきより短い間隔で、『ゴロゴロゴロ』と音を立てた空に、私は上げそうになった悲鳴を必死に飲みこんだ。

「雨足も強くなってきている。早く家に入った方がいい」

「……すみません。ありがとうございました」

お礼もそこそこに、私は逃げるように車を飛び出し自宅マンションへと駆け込んだ。





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