マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
私が熱を出して寝込んだあの日からもうすぐ一か月。
“模擬結婚生活”を終えて晴れて恋人同士となった私たち二人は、正式なお付き合いをスタートさせた。
「腹いせなんてしないわよ。あんな昔のこと、根に持ったりしてない。むしろあの時はあれでよかったって思ってるもの。それに……」
「それに?」
「今は一緒には住んでないし……」
「え、そうなの?夫婦ごっこの時は同棲してたのに、ほんとの恋人になったら解消?なんで!?」
不満と不思議がありありと顔に書いてあるまどかに、
「夫婦ごっこって……。“模擬結婚生活”は終わったんだもの、一緒に暮らす必要はないでしょう?」
と言うと、彼女は眉間の溝を深くして、いぶかし気にこちらを見た。
「高柳さんは賛成したの?」
「それは……」
反対、とまでは言われなかったが、かなり渋られたのは事実である。
結局連休明けの火曜日、私は大事をとって仕事を休んだ。――というよりも休まされた。
下がったと思った熱がまた上がってしまったせいで、高柳さんからの許可が下りなかったのだ。
水曜日から出勤したもののやっぱり本調子とはいかず、定時あがりで帰宅した後はほとんど食べて寝るだけの毎日で、あっという間に次の週末を迎えることになった。
その間も高柳さんは私の世話を献身的にしてくれて、食事や洗濯などの家事は任せっぱなしだった。
このままだと彼氏に甘えっぱなしのダメな彼女の出来上がりだ。愛想を尽かされる日も遠くない。
そう思った私は、同居生活の解消を申し出た。
“模擬結婚生活”を終えて晴れて恋人同士となった私たち二人は、正式なお付き合いをスタートさせた。
「腹いせなんてしないわよ。あんな昔のこと、根に持ったりしてない。むしろあの時はあれでよかったって思ってるもの。それに……」
「それに?」
「今は一緒には住んでないし……」
「え、そうなの?夫婦ごっこの時は同棲してたのに、ほんとの恋人になったら解消?なんで!?」
不満と不思議がありありと顔に書いてあるまどかに、
「夫婦ごっこって……。“模擬結婚生活”は終わったんだもの、一緒に暮らす必要はないでしょう?」
と言うと、彼女は眉間の溝を深くして、いぶかし気にこちらを見た。
「高柳さんは賛成したの?」
「それは……」
反対、とまでは言われなかったが、かなり渋られたのは事実である。
結局連休明けの火曜日、私は大事をとって仕事を休んだ。――というよりも休まされた。
下がったと思った熱がまた上がってしまったせいで、高柳さんからの許可が下りなかったのだ。
水曜日から出勤したもののやっぱり本調子とはいかず、定時あがりで帰宅した後はほとんど食べて寝るだけの毎日で、あっという間に次の週末を迎えることになった。
その間も高柳さんは私の世話を献身的にしてくれて、食事や洗濯などの家事は任せっぱなしだった。
このままだと彼氏に甘えっぱなしのダメな彼女の出来上がりだ。愛想を尽かされる日も遠くない。
そう思った私は、同居生活の解消を申し出た。