マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
(うわ~~っ)
窓の外の景色に感嘆する。本当は声を上げてはしゃぎたいところだけれど、周りの雰囲気からそんなことは出来ないと我慢した。
高柳さんに連れられて来たのは、ホテルの高層階レストラン。案内された席には“Reserved.”と書かれたプレートが置かれている。テーブルの隣の窓からは景色が一望でき、ベイサイドの夜景が眼下に広がっていた。
「横浜…?」
「ああ。よく分かったな」
途中で眠ってしまった私は、自分がどこに連れてこられたのか今やっと理解した。光り輝く時計型大観覧車を窓越しに見下ろしている。
「素敵……」
思わず口に出して呟いた私に、高柳さんは瞳を細め微笑んだ。
「誕生日おめでとう、雪華」
フルートグラスを持ち上げて“乾杯”のポーズを取った後、高柳さんの口から出たその言葉に、私はグラスの細い脚を持ったまま動きを停止させた。
まばたきを三回繰り返したところで、やっと口から言葉が出た。
「今日は誕生日だったんだわ……」
「自分の誕生日なのに忘れていたのか?」
高柳さんが呆れている。
二月十四日。今日が自分の誕生日だということがすっかり頭から抜け落ちていた。
ここ一週間はずっとまどかに言われた“バレンタイン大作戦”のことばかりが頭を占めていたせいで、自分の誕生日なんて気にする余裕もなかったのだ。
でも完全に忘れていたわけではなくて、今朝佐知子さんから『お誕生日おめでとう』のメッセージを貰った時に『ああ、今日から二十八か』と認識はした。けれどそのあとすぐにまどかからのメッセージに、【お誕生日おめでとう!頑張れ脱処女大作戦!!】とあり、もうそのことが頭から離れなくなってしまったのだった。
私にとって、今日は誕生日よりもバレンタイン。決戦の日なのだ。
けれど、どうして――
窓の外の景色に感嘆する。本当は声を上げてはしゃぎたいところだけれど、周りの雰囲気からそんなことは出来ないと我慢した。
高柳さんに連れられて来たのは、ホテルの高層階レストラン。案内された席には“Reserved.”と書かれたプレートが置かれている。テーブルの隣の窓からは景色が一望でき、ベイサイドの夜景が眼下に広がっていた。
「横浜…?」
「ああ。よく分かったな」
途中で眠ってしまった私は、自分がどこに連れてこられたのか今やっと理解した。光り輝く時計型大観覧車を窓越しに見下ろしている。
「素敵……」
思わず口に出して呟いた私に、高柳さんは瞳を細め微笑んだ。
「誕生日おめでとう、雪華」
フルートグラスを持ち上げて“乾杯”のポーズを取った後、高柳さんの口から出たその言葉に、私はグラスの細い脚を持ったまま動きを停止させた。
まばたきを三回繰り返したところで、やっと口から言葉が出た。
「今日は誕生日だったんだわ……」
「自分の誕生日なのに忘れていたのか?」
高柳さんが呆れている。
二月十四日。今日が自分の誕生日だということがすっかり頭から抜け落ちていた。
ここ一週間はずっとまどかに言われた“バレンタイン大作戦”のことばかりが頭を占めていたせいで、自分の誕生日なんて気にする余裕もなかったのだ。
でも完全に忘れていたわけではなくて、今朝佐知子さんから『お誕生日おめでとう』のメッセージを貰った時に『ああ、今日から二十八か』と認識はした。けれどそのあとすぐにまどかからのメッセージに、【お誕生日おめでとう!頑張れ脱処女大作戦!!】とあり、もうそのことが頭から離れなくなってしまったのだった。
私にとって、今日は誕生日よりもバレンタイン。決戦の日なのだ。
けれど、どうして――