マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
「雪華…?」
高柳さんが困惑するのが伝わってくる。それもそうだろう。だって今度は手には何も持っていないのだから。
両目をギュッと閉じ、思い切ってそれを言葉にした。
「私の処女、貰ってください!」
とうとう言った。
一気に顔は真っ赤になり頭からは湯気が出そうなほど熱い。
静まり返った部屋。自分の鼓動の音だけが耳の奥でうるさく鳴っている。
(もしかして、失敗した……?)
何も言わない高柳さんに、焦りが不安に変わっていく。
(自分から言い出すなんてはしたないって思われた!?)
決死の覚悟で挑んだことが裏目に出たのかもしれない。真っ赤になっていた顔から血の気が引いていく。
(八年前から成長してないって呆れられたかも……)
高柳さんに嫌われたくない――
「や、…やっぱり、なんでもありませんっ」
半分泣きたくなって、顔を覆うために差し出していた手を自分の方へ戻そうとした時――
その手を掴まれ、ぐいっと力強く引かれた。
ふわり――鼻先をチョコレートとウィスキーの香りがくすぐる。次の瞬間、私の唇は彼のもので覆われていた。
高柳さんが困惑するのが伝わってくる。それもそうだろう。だって今度は手には何も持っていないのだから。
両目をギュッと閉じ、思い切ってそれを言葉にした。
「私の処女、貰ってください!」
とうとう言った。
一気に顔は真っ赤になり頭からは湯気が出そうなほど熱い。
静まり返った部屋。自分の鼓動の音だけが耳の奥でうるさく鳴っている。
(もしかして、失敗した……?)
何も言わない高柳さんに、焦りが不安に変わっていく。
(自分から言い出すなんてはしたないって思われた!?)
決死の覚悟で挑んだことが裏目に出たのかもしれない。真っ赤になっていた顔から血の気が引いていく。
(八年前から成長してないって呆れられたかも……)
高柳さんに嫌われたくない――
「や、…やっぱり、なんでもありませんっ」
半分泣きたくなって、顔を覆うために差し出していた手を自分の方へ戻そうとした時――
その手を掴まれ、ぐいっと力強く引かれた。
ふわり――鼻先をチョコレートとウィスキーの香りがくすぐる。次の瞬間、私の唇は彼のもので覆われていた。