マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~
“良く出来ました”の意味を込めて頭を撫でると、雪華は照れ臭いのか顔を伏せる。
職場では綺麗だけどクールで隙のない彼女の、そんな初心な様子が愛しくてたまらない。

「可愛い」

思ったことをそのまま口に出すと、顔を赤くした雪華がじろりと俺を見上げ来た。

「可愛くない……私のこと、あんまり甘やかさないでください」

恨めし気に俺を見つめる上目遣いが可愛くて、その唇をついつい啄む。すると、「もうっ!真面目に聞いてください」と雪華は眉を吊り上げた。

「可愛いから可愛いと言ったんだ。…それより、敬語」

「え?」

「また敬語に戻ってるぞ」

「あ、」

しまった、と顔に書いてある雪華の唇を今度は長めに塞いだ。
< 315 / 336 >

この作品をシェア

pagetop