マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~

(高柳統括!)

とっくに帰ったと思っていた人の声が聞こえ、私はその場で固まった。
別に悪いことをしているわけではないのだからすぐに返事をすれば良かったのに、驚きとカミナリへの恐怖心とが合わさって、脳内回路が上手く回らない。

「誰もいないのか?」

そう口にしながら足音が近付いてくる。

(や、やだ…どうしてこっちに来ちゃうの!?)

それはそうだろう。私のデスク周辺しか電気が点いていないのだから。

そんなことも分からないほどパニックになりかけていたが、何とかそれを追いやって、冷静になろうと心掛ける。

(そ、そうよ…返事を)

『青水がいます』

そう声を出して立ち上がろうとしたその時

―――ピカッ!

閃光が走った。
反射的に体が固まった―――次の瞬間

―――バーンッ!

鼓膜を震わせるような大きな雷鳴が(とどろ)いた。

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