マリッジライフ・シミュレイション~鉄壁上司は妻を溺愛で溶かしたい~

《二》





ピピピッピピピッピピピッ

「ん……もうちょっと……」

アラームを止めようと、枕元にある携帯に手を伸ばす。指先に当たった感触だけで画面を操作する。鳴り止んだ電子音に安心して、枕に顔を埋めようとしたその瞬間

《雪ちゃん今どこにいるの!?マンションの停電は大丈夫なの!?》

携帯から聞こえてきた佐知子さんの声に飛び起きた。

「佐知子さん!」

寝起きのぼんやりとした頭が一瞬にして覚醒する。と同時に今自分がどこにいるのかを思い出した。

《雪ちゃんのくれたメール、さっき見たのよ。中々連絡がつかなくて心配したけど“大丈夫です”とあったからひとまずほっとしたわ》

「心配かけてごめんなさい…連絡も遅くなってしまって……」

《雪ちゃんが無事ならいいの。あなたに何かあったら、裕子さんに申し訳が立たないわ》

「佐知子さん……」

佐知子さんは亡くなった母の代わりに、いつも私のことを考えてくれている。そんな彼女には感謝の気持ちでいっぱいだ。

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