蝉彼岸
また翌週。飲み会から帰ってきた彼からは溜息が耐えない。
「今日は呑んで来たの?」
「うん、呑めって五月蝿かったから」
首筋を掻きながら唯月はそう言った。
彼は嘘をつく時、首筋を掻く癖がある。それに彼からは少しもお酒の匂いがしない。
しかし、それを咎めるのも面倒だと思った私は
「そっか。お疲れ様。上司ももう少し気使ってくれてもいいのにね」
と、愚痴をこぼした。
彼は相槌を打ち、お風呂入ってくる、と上着と鞄を私にたくした。
その鞄から女性物のハンカチが出てきた。きっと飲み会で誤って女性が入れてしまったのだろう。
彼岸花と蝉の珍しい組み合わせの刺繍が施されていた。
そこまで気にすることなくそれを洗いに出した。
「今日は呑んで来たの?」
「うん、呑めって五月蝿かったから」
首筋を掻きながら唯月はそう言った。
彼は嘘をつく時、首筋を掻く癖がある。それに彼からは少しもお酒の匂いがしない。
しかし、それを咎めるのも面倒だと思った私は
「そっか。お疲れ様。上司ももう少し気使ってくれてもいいのにね」
と、愚痴をこぼした。
彼は相槌を打ち、お風呂入ってくる、と上着と鞄を私にたくした。
その鞄から女性物のハンカチが出てきた。きっと飲み会で誤って女性が入れてしまったのだろう。
彼岸花と蝉の珍しい組み合わせの刺繍が施されていた。
そこまで気にすることなくそれを洗いに出した。