国王陛下に溺愛されて!?~メイド騎士の攻防戦~10/11に大幅修正完結済み。

私は、認めたくなかった。
だって急に出生の秘密や東洋の話をされても
私には、何のことかさっぱり分からない。
例えそれが真実だとしても陛下や皆の前で
言ってほしくなかった。私が異国の人間だって……。
恥ずかしさで居たたまれなくなったその時だった。

「……で、それを話して
お前らは、アイリスをどうしたいんだ?」

陛下が口を開いた。
影近は、それを聞いてニヤリと笑う。
まるで挑発的に……。

「そんなの決まっている。
我々と共に東洋……伊賀に帰って頂く。
我ら長が曾孫の帰りを待っているからな」

影近……!?ちょっと勝手なことを言わないで
それに陛下に知られてしまった……。
私は、動揺しながら陛下を見つめた。

「そうか……だが悪いな。お前らの望みは叶わない。
俺は、アイリスを手離す気はないからな」

こ、陛下……!?
陛下は、私を手離さないと言ってくれた。
それがとても嬉しかった。

「ふん。口だけなら何とでも言える。
だが我々は、任務を必ず遂行する。行くぞ。散」

影近がそう言うと慎を始め周りの忍び達は、
消えたように居なくなった。一瞬の事だった。
招待客達は、パニックになってしまう。
私もどうしたらいいか分からず戸惑っていた。

「アイリス……」

陛下に名を呼ばれてビクッと震え上がった。
私は、陛下にどうやって向き合ったらいいか
分からない。花嫁の事もあるし……。

「あ、あの……本当に申し訳ありませんでした」

私は、居たたまれなくなってその場から
飛び出してしまった。陛下に待てと呼び止められるが
私は、振り向くことが出来なかった。
これは、私のせいでもあるからだ。

ひたすら外の庭園を走り続けた。すると
「おい。待てよ!?アイリス!!」とエイリオが
追いかけてきた。

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