異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
「いい天気ねー」
四枚ある店の戸をすべて外して全開にすると、メグミは両手を上げてうんっと伸びをした。
そろそろ夏の太陽も最盛期を過ぎてきたようで、朝の空気が気持ちよくそよぐ。ただし、今日も日中は暑くなりそうだったが。
朝はやはり声を出すのが大切ということで、彼女は続けて言い放つ。
「今日も張り切っていこーっ」
誰に言うのでもない。敢えていうなら自分の心に聞かせている。
忙しく動いて箒で門口を穿いたあと、軽く水を撒いてゆく。夏はこの水撒きが特に欠かせない。こちらは大通りと違ってレンガが敷き詰められているわけではなく、土が固めてあるだけだった。
動いているとさすがに額に汗が浮かんだので、彼女はそれを手の甲でそっと拭った。
直線に切りそろえられた黒い前髪がメグミの手の上を滑る。
四枚ある店の戸をすべて外して全開にすると、メグミは両手を上げてうんっと伸びをした。
そろそろ夏の太陽も最盛期を過ぎてきたようで、朝の空気が気持ちよくそよぐ。ただし、今日も日中は暑くなりそうだったが。
朝はやはり声を出すのが大切ということで、彼女は続けて言い放つ。
「今日も張り切っていこーっ」
誰に言うのでもない。敢えていうなら自分の心に聞かせている。
忙しく動いて箒で門口を穿いたあと、軽く水を撒いてゆく。夏はこの水撒きが特に欠かせない。こちらは大通りと違ってレンガが敷き詰められているわけではなく、土が固めてあるだけだった。
動いているとさすがに額に汗が浮かんだので、彼女はそれを手の甲でそっと拭った。
直線に切りそろえられた黒い前髪がメグミの手の上を滑る。