異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
姿こそは可愛くなっても、メグミは菓子職人兼、売り子兼、経営者だった。
服はGパンとTシャツというわけにはいかず、かといってサユリが着ていた絣の着物では動き難い。第一、移動してきたときに着ていた服は、父親の分も含めてすべて売ってしまったので手元にはない。
サユリの絣の着物は形や柄が珍しいらしく、高価で引き取ってもらった。
『珍しい形をしておるな。着る物と言うより羽織るのによさそうだが、丈が長いなぁ。誰が来ていたんだね。折柄がいい。タペストリーにしたい奴がいるかもしれんが、裾を切って羽織りものにするってこともできるか。どのみち買った人が決めるだろ』
この世界ではたった一枚の着物です、と言いたいところをぐっと堪えて、値踏みをする質屋のような“なんでも引き取り屋”の親父さんに渡した。
移動した直後はこの国のお金がなくて本当に大変だった。服を引き取ってくれた近所のお店には感謝している。
そのお金でサユリがご近所から手に入れてきた庶民の服をずっと着回している。
メグミは、大抵はスカートとブラウスだった。これも可愛い型だ。しかもそれが普通らしい。
気恥ずかしいが、それで少しはお客さんが来るなら、そちらの方が重要なのはメグミも理解している。
サユリはメグミと違って四十代の女性向きの格好をしている。
冬になれば上にベストを着たり、さらにはショールなどを使ったりする。作業台に向かうときには暑くなるので、メグミは冬でも薄着だ。
服はGパンとTシャツというわけにはいかず、かといってサユリが着ていた絣の着物では動き難い。第一、移動してきたときに着ていた服は、父親の分も含めてすべて売ってしまったので手元にはない。
サユリの絣の着物は形や柄が珍しいらしく、高価で引き取ってもらった。
『珍しい形をしておるな。着る物と言うより羽織るのによさそうだが、丈が長いなぁ。誰が来ていたんだね。折柄がいい。タペストリーにしたい奴がいるかもしれんが、裾を切って羽織りものにするってこともできるか。どのみち買った人が決めるだろ』
この世界ではたった一枚の着物です、と言いたいところをぐっと堪えて、値踏みをする質屋のような“なんでも引き取り屋”の親父さんに渡した。
移動した直後はこの国のお金がなくて本当に大変だった。服を引き取ってくれた近所のお店には感謝している。
そのお金でサユリがご近所から手に入れてきた庶民の服をずっと着回している。
メグミは、大抵はスカートとブラウスだった。これも可愛い型だ。しかもそれが普通らしい。
気恥ずかしいが、それで少しはお客さんが来るなら、そちらの方が重要なのはメグミも理解している。
サユリはメグミと違って四十代の女性向きの格好をしている。
冬になれば上にベストを着たり、さらにはショールなどを使ったりする。作業台に向かうときには暑くなるので、メグミは冬でも薄着だ。