異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
やがて厨房へ到着する。ベルガモットの上背のある姿はどこにいてもすぐに分かる。
「ベルガモットさんっ、明日の夜会のために栗を分けていただけませんか?」
かなり大きな声になったので、厨房で忙しく働く料理人たちの目が、出入り口に立つメグミへと一斉に集まる。
ベルガモットは、珍しいくらいの怒りの表情でつかつかとメグミに近寄ると言った。
「いま何をやっているのか分からないのか!」
晩餐の準備中だった。すぐに、もっと忙しくなる。はぁはぁと息を荒くしていたメグミは、深く腰を折る。
「申し訳ありませんっ」
「晩餐が終了したころに、第二調理場へ来い」
「はい」
彼女はその場から離れて、来たときとは違う力ない足取りで第二調理場へ向かった。部屋へ戻って晩餐が終わるまでそこで待つ気持ちにはなれない。
一刻も早く栗の調達をしたい。しかし、いまから王城を出て大通りの店へ行っても、まとまった量を手に入れられるとは思えなかった。王城で仕入れた栗を分けてもらうしかない。
第二調理場は、今夜は使用される予定はなく、誰もいない。こちらに配置されている料理人は、ベルガモットの指示で、先ほどのもっとも大きな第一厨房にいるのだろう。
調理台を前に、壁に立てかけてあった簡易椅子を出して座ると、どういう順で栗羊羹を作ってゆくかを頭の中で構成しながらじっと待った。
「ベルガモットさんっ、明日の夜会のために栗を分けていただけませんか?」
かなり大きな声になったので、厨房で忙しく働く料理人たちの目が、出入り口に立つメグミへと一斉に集まる。
ベルガモットは、珍しいくらいの怒りの表情でつかつかとメグミに近寄ると言った。
「いま何をやっているのか分からないのか!」
晩餐の準備中だった。すぐに、もっと忙しくなる。はぁはぁと息を荒くしていたメグミは、深く腰を折る。
「申し訳ありませんっ」
「晩餐が終了したころに、第二調理場へ来い」
「はい」
彼女はその場から離れて、来たときとは違う力ない足取りで第二調理場へ向かった。部屋へ戻って晩餐が終わるまでそこで待つ気持ちにはなれない。
一刻も早く栗の調達をしたい。しかし、いまから王城を出て大通りの店へ行っても、まとまった量を手に入れられるとは思えなかった。王城で仕入れた栗を分けてもらうしかない。
第二調理場は、今夜は使用される予定はなく、誰もいない。こちらに配置されている料理人は、ベルガモットの指示で、先ほどのもっとも大きな第一厨房にいるのだろう。
調理台を前に、壁に立てかけてあった簡易椅子を出して座ると、どういう順で栗羊羹を作ってゆくかを頭の中で構成しながらじっと待った。