異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
大量の栗をテーブルに置いて、一つずつ丁寧に剥いてゆく。終わったものは大きなボウルに溜めた水の中に入れる。そうしないと色が変わってしまうからだ。あく抜きにもなる。
目の前の栗の山は、なかなか減らない。それでも、メグミは黙々と作業をしてゆく。
冬の作業は、暖房なしでは寒い。調理場の暖房は広い室内の隅にある小さなストーブ一つしかなかった。調理をしている間は、暖房などさほど必要としないし、たまに下拵えで残る者がいる場合にのみ、火を入れる。
彼女一人のために暖房を使うのは躊躇われたので、部屋へ行ってカーディガンとコートを着込み、ショールと膝かけを持ってきて包まる。
コートは小豆を巻かれた日にコンラートが掛けてくれたものだ。あまりに上質なので自分で洗濯や手入れができず、次の日、埃だけは払った状態で侍従長のところへ返しに行ったら、『それはもうあなたが使いなさい』とあっさり言われてしまった。『陛下があなたにお渡しになったときからあなたのものです』だそうだ。
それがいこれほど役に立つとは、コンラートは本当に彼女を助けて守ってくれる人だ。
目の前の栗の山は、なかなか減らない。それでも、メグミは黙々と作業をしてゆく。
冬の作業は、暖房なしでは寒い。調理場の暖房は広い室内の隅にある小さなストーブ一つしかなかった。調理をしている間は、暖房などさほど必要としないし、たまに下拵えで残る者がいる場合にのみ、火を入れる。
彼女一人のために暖房を使うのは躊躇われたので、部屋へ行ってカーディガンとコートを着込み、ショールと膝かけを持ってきて包まる。
コートは小豆を巻かれた日にコンラートが掛けてくれたものだ。あまりに上質なので自分で洗濯や手入れができず、次の日、埃だけは払った状態で侍従長のところへ返しに行ったら、『それはもうあなたが使いなさい』とあっさり言われてしまった。『陛下があなたにお渡しになったときからあなたのものです』だそうだ。
それがいこれほど役に立つとは、コンラートは本当に彼女を助けて守ってくれる人だ。