異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
一つまた一つ。寒いうえ手袋をしているわけではないので手先が荒れてくる。しかしやめない。

そうしていつの間にか窓の外が白々と明けてきた。水の入ったボウルはすでに五個になっていた。

「これが、最後」

ランプの下でやっていたので、周囲が明るくなると反って視界がちらついた。ぱちぱちと瞬きを繰り返して最後を剥き終える。

「終わったー……。あー、ねむ」

集中している間は襲って来なかった眠気が急速にやって来て、メグミは机の上に伏せた。瞬く間に眠ってしまう。
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