異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
太陽が昇れば、朝の点検も兼ねてベルガモットがやって来る。

ゆさゆさと肩を揺すられて上半身を起こすと、昨夜栗を運んできた三人とベルガモットがいた。もしも出来上がっていなければ三人がすることになっていたのだろう。

「おはようございます。ベルガモットさん。できました」

ここは弾んだ声になっても仕方がないと思う。

黙って彼女を見たベルガモットは、水に浸していたものを一つ一つ調べてゆく。そして、いくつかを避けた。

「これはやり直しだ。形が悪いのと、皮が剥けきっていない」

「……はい」

ダメだった。ガックリと肩を落とす。

「やり直し分は、お前が使用する分とする」

はっとして顔を上げ、避けられた分を眺める。

「手でつかむより多いのですが」

「それがどうした」
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