異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
「たまに俺の話を聞いてくれ。メグの話も聞きたい。おまえの話の中には、俺がこの国のためにできることを増やす何かがある。それを摘み取ってゆくのは楽しいぞ。前を向く力になる」
「…………」
自分の方こそ、いつも助けてもらっている。立ち上がる力をもらってきた。決して口には出さないつもりだが、コンラートはメグミにとって誰よりも大切な人だ。
「お前を愛している。何度でも求婚するぞ。覚悟していてくれ」
応えたい。けれどぐっと言葉を呑み込んでメグミは目を閉じる。
コンラートは彼女の顎を軽く持って顔を上げさせ、そして。
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