異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
建物としてのテツシバはかなり傷んできた。彼女一人で維持できなくなったら、船に乗って海を越えてはいけないだろうか。東の方へ行けば、もしかしたら、故国と似たような国があるかもしれない。港で桜の塩漬けを見つけたのだ。
「なぁ、メグ」
歩き出したメグミを後ろから呼び止めたコンラートが、酷く真剣な顔で言う。
「どこへも行くなよ」
まるで彼女が考えたことが分かったかのようだ。メグミは肩を落として応える。
「コラン様には敵いませんね。そうやって仰っていただける間はここにおります」
「では、共に息絶えるまでだ」
言い切ってくれるこの人が好きだ。
心を込めて作ったお菓子を食べてくれる人がいる。ほしいと言ってもらえるのがなにより嬉しい。
「なぁ、メグ」
歩き出したメグミを後ろから呼び止めたコンラートが、酷く真剣な顔で言う。
「どこへも行くなよ」
まるで彼女が考えたことが分かったかのようだ。メグミは肩を落として応える。
「コラン様には敵いませんね。そうやって仰っていただける間はここにおります」
「では、共に息絶えるまでだ」
言い切ってくれるこの人が好きだ。
心を込めて作ったお菓子を食べてくれる人がいる。ほしいと言ってもらえるのがなにより嬉しい。