Goodbye, Love Junky!!
分厚い参考書を抱き締めたかわはしさんが、いたずらっこのような笑みを浮かべる。
「坂田くんは童貞くさくて可愛いよねって」
「はぁぁぁぁ!? ちょ、ここ廊下……っ!!」
そんな可愛い顔して言うことじゃなくない!?
男としての尊厳とか名誉とか、俺にはそんなもの無いのかよ……。
「冗談だって。そんなにしょんぼりした顔しないでよ。私が坂田くんのこといじめたみたいじゃん」
いやまぁ実際いじめられてるんだけど。
小さくしょぼくれた俺の背中をポン、と軽く叩いて彼女は言う。
「坂田くんは誰にでも優しくて笑顔が可愛いって、みんなから評判だよ。これは本当だから信じてほしい」
なにその、告げ口、みたいな。
華奢な人差し指をほんのり桃色の唇に当てる。
「こうして話したこととかみんなにバレたら、私が抜け駆けしたとか言われるから黙っててね」
それじゃ、と可愛らしい足音を立てて去っていった。
抜け駆けって……。