先輩、これって恋ですか?


「うわー、ほんとどうしよう。」

「智紘先輩…?」


顔から手を離すと、先輩の顔はなぜか真っ赤になっていて。

…なんかいつもと立場が逆みたい。

まるで自分を見ているようでおもしろかった。


「智紘先輩、顔赤いですけど」

「春香ちゃんのせいだよ」

「わたしですか…?」


えー、何かしたっけ…。

全然覚えてないんだけどなぁ。


顔を真っ赤にしたままの先輩がボソッと、「無自覚で振り回されてばっかりだ」と言った。


「何か言いました?」

「ううん、何も」

「 ? 」


不思議そうに先輩を見つめると、「ちょっと今こっち見んのなし」と言って、またベンチに寝転んで顔を隠した。
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