先輩、これって恋ですか?
「そういえばさぁ、春香ちゃん。俺のこと名前で呼んでくれないよね」
お弁当を食べ終わり片付けをしている時、不意にそんなことを聞かれ、「えっ?」と声が漏れる。
「せっかく名前教えたのに呼んでくれないんだぁ。なんか残念だなー」
「そ、それは…先輩が、勝手に……」
「でも春香ちゃん。次は名前で呼んでくれるって約束したよね?」
「えっ…?」
いや、あれは……考えておきますって言っただけであって約束とまでは言わない…。
「春香ちゃんがまだ友達だと認めてくれてないのは分かるけど、せめて名前だけでも呼んでほしい。……ダメかな?」
「え、っと……。」
「ダメじゃないなら呼んで?」
先輩の瞳がわたしを捉える。
なんだかそれに耐えられなくなって俯くと、目の前から伸びてきた腕が、わたしの頬を持ち上げる───