先輩、これって恋ですか?


「春香ちゃん。俺の顔、見て。」


──その瞬間、バチッと視線が重なる。


触れられた頬がやたらと熱くて、ドキドキと胸が騒いで、このあたりだけやたらと空気が重たく感じて、一瞬、息を吸うのを忘れてしまいそうになる。


「春香ちゃんすぐ下向く。目ぇ合ってもすぐ逸らされちゃう。それってなんだか寂しい」

「せ、先輩…そろそろ……」


“手を離してほしい”そう言いたいのに喉の奥が詰まったみたいに声が出てこない。


「手、離してほしい?」

「……はい」

「いいけど。じゃあ、約束して」


「するなら離してあげる」と言う先輩のその言葉に精一杯頷いてみせると、すぐに手を離してくれた。

そして、先輩は続けてこう言った───


「次、また下向いちゃったら罰として、キスしちゃうから。」

と、意地悪な顔でニヤリと笑った。


「それが嫌なら春香ちゃんがちゃーんと気をつけたらいいんだよ?」

「ず、ずるい…ですっ!」
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