先輩、これって恋ですか?
「……え!? あ、いや……。」
慌てて先輩の方に向き直す。
「残念ながら俺、今見ちゃったから」
「いや、あの…!」
ど、どうすればいいのかな……。
グルグルと考えるもいい案なんて思い浮かばなくて困り果てたその時、「じゃあ、優しい俺からの提案!」そう言って人差し指を立てる。
「下向いた罰としてキスされるか、俺の名前を呼ぶか。……どっちがいいか春香ちゃんならすぐに答えが出るよね?」
「…っ」
やっぱり、先輩はずるい。
どっちが無難か、なんて嫌でもすぐ分かる。
それを先輩は知っていて、わたしがそっちへ逃げると分かっているから“わざと”そんな提案を持ちかけたに違いない。
「今から10数える間に答えないと時間切れとみなして、ほんとにキスしちゃうからー」