先輩、これって恋ですか?
いつも智紘先輩に振り回されてばかりで言葉で勝ったことなんて一度もない。
いつも負けてばかりだった。
だから今日こそは。そう思って挑んでみたけど敵うはずもなくて
先に白旗を上げたのは、わたし。
智紘先輩のシャツをキュッと掴んだ。
それが、“これからもお昼一緒に食べる”に対して、わたしなりの返事だった。
それを見た先輩は、フッとまた笑って、ポンポンと頭を二度撫でたあと、わたしを解放してくれた。
「素直じゃないねぇ?」
「……ほっといて、ください。」
お昼休みが終わるまで残り5分。
わたしの真っ赤な顔は、しばらく治らなかった。