先輩、これって恋ですか?
紬ちゃんの言葉を頭の中でリプレイして、固まるわたし。
不思議そうに見つめ、その肩を揺らす。─と、そこで意識がハッとして瞼をパチパチと繰り返すと、「春香?」と声が聞こえた。
「紬ちゃん…」
「今、一瞬飛んでなかった?」
「あー…えと、あの。…紬ちゃんの言葉が気になって…」
すると、「わたしの言葉?」と頭を傾げてキョトンとする紬ちゃん。
「ほら、さっき。…“久遠先輩が来るもの拒まずをやめた理由が分かった”って言ったでしょ?」
「あー、あれね」
「…何が分かったの?」
「知りたい?」
そう聞かれて一瞬、迷った。
智紘先輩がいないところで先輩のことを聞いちゃっていいのだろうか。もしこれがあとから先輩にバレたら嫌な気持ちにならないだろうか、と。
でも
それと同時に、聞いてみたいという個人的な感情も先走る。