先輩、これって恋ですか?
「……嘘言わないで、ください」
わたし、次は騙されないから。
いつも先輩のペースに流されてばかりだけど、今回だけはそうじゃないから。
そっぽを向いたままムスッとしているわたしに、「嘘じゃない」そう言って髪から手を離すと、わたしの手をとった。
直後、慌てるわたしをよそに先輩は、それを自分の胸へと押し当てる。
すると────…
「────え……。」
ドキ、ドキ、ドキ、ドキ───…
手のひらを通して直接伝わってくる、先輩の鼓動の音。
それはまるでわたしのものと同じだった。