先輩、これって恋ですか?
だけど、未だに聞こえてくる鼓動の音。
耳からするりと入り込むそれ。
わたしのものなのか、先輩のものなのか、はっきりとは分からなかった。
けど、これだけ近い距離にいるせいで二つの鼓動が重なって大きく聞こえているような気がした。
「春香ちゃん。これで分かったでしょ?」
「…え、っと……」
「俺だって余裕ないんだからね」
「いや、それは…」
……嘘にしか聞こえないけど…
確かにドキドキは聞こえるけど、緊張してる素振りなんか一つも見せないし。
「……なんか、詐欺みたい」
「それひどい!」
「え? いや、だって……」
「俺がこんなにドキドキしてるのは春香ちゃんのせいなんだからね」
「わ、わたし!?」
……べつにわたしから迫ったわけじゃないんだけどなぁ…。
「……じゃあ、早く離してくださいよ。」