先輩、これって恋ですか?
「な、なんですか…?」
「いいから受け取って」
渋々、わたしは折られた白い紙を受け取った。
すると大和先輩は、「春香ちゃんに任せたから」と言って、わたしの肩を軽く二度叩いた。
「じゃあ、よろしくね」
「え? あの…っ!」
大和先輩を引き止めようと、手を伸ばすが空振りに終わり、ワケが分からないままポツンと一人取り残された廊下。
─と、手渡された白い紙のことを思い出し、それを開いて見ると、そこには智紘先輩のお家までの地図が書いてあった。
それを事前に準備していたとなると……
「……大和先輩。初めからわたしに頼もうとしてたってこと…?」
──なんてことに気がついても時すでに遅かった。