先輩、これって恋ですか？

この距離で、この状況で、

智紘先輩に見つめられたら誰だってドキドキするに決まってる。

きっと、わたしだけじゃない。




「…〜っ、智紘、先輩…は、離してください」




この状況が限界に達して、声を上げる。


─と、「…〜〜…」と何かを発した気がしたけど、声にならないそれを聞きとることができなくて、困惑していると──…




いきなり智紘先輩の腕が伸びてきて、

それが後頭部に回される。



─と、智紘先輩の顔が至近距離にあって、

わたしの唇に、何かが触れていた。



熱くて、柔らかいもの。



それが、

智紘先輩の唇だということはすぐに理解した。