先輩、これって恋ですか?
「高校生活今のままでいいの?」
「い、今のままがいいの……」
「それは春香の本音?」
そう聞かれて、口ごもる。
「黙るってことは今のは本音じゃないってことでしょ? ……春香、自分ではもう分かってるでしょ。」
まるで母親のように優しく包み込んでくれる、そんな言葉をくれる。
その温かさがじんわりと心の中に溶け込んできて、ゆっくりと口を開いた。
「……わたし、ほんとは変わりたい。下ばかり向いて生きる人生なんて嫌だもん…。」
「うん」
「人と堂々と話せるようになりたい。…すぐには無理だけど……クラスの人とも話せるようになりたい」
今までは人と接するのが苦手だからと自分から避けてきて、一人でいるのは慣れたと思っていたけど、ほんとはそんなことない。
一人でいるのだって辛いんだ。
慣れてなんかいないんだ。
そんなのはただの強がりでしかなくて、自分を守るために自分の心を偽っているだけ。