先輩、これって恋ですか?
一歩踏み出す勇気。
────キーンコーンカーンコーン…
四限目の授業が終わるチャイムが鳴ると、一斉に教室を飛び出して購買へと向かうクラスメート。
その光景を、わたしは何度見ただろう。
だけど、今日のわたしはなんだか違うような、まるで別人になった気分だった。
お弁当を持って中庭に直行する───と、やっぱり、わたしより先に先客がいて思わず足が止まるけど、憂鬱な感情はなんとなく和らいでいるような気がした。
「あ、春香ちゃん!」
わたしに気づくと、すぐに手を振ってくる。
今までならどう反応すればいいのか困っていたけど、小さく頭を下げて智紘先輩が座っている場所へと向かう。
「あれ。なんか、春香ちゃん昨日と少し違くない? なんか変わった?」
「そう、ですか…?」
「うん。だって今、お辞儀したよね」