先輩、これって恋ですか?
「と、とにかく…わたしはいいので、先輩食べてください…っ」
そうは言ったものの、なぜか先輩は無反応で…
それが何を意味するのかすぐ分かり、「はあー」とため息を吐く。
「……智紘先輩、早く食べてください…。」
「お!」と小さく反応した後、目をキラキラと輝かせる先輩。
「春香ちゃん。俺の扱い方がうまくなってきたんじゃない?」
「そ、れは……智紘先輩が名前で呼ばないと返事しないなんて子供みたいなこと言うからですよ。」
「あれ? 最初の頃より春香ちゃんの言葉が刺々しく感じるんだけど気のせい?」
右手に持ったまま放置されている“いちごロールパン”のクリームが、重力によって中から少しずつ溢れてきているのを、先輩は気づいていない。
それどころか「うーん…」と眉間にしわを寄せている。
「…いや、違うかな。刺々しいっつーより、春香ちゃんが心を開いてきてるからかな?」
「わたしが、ですか…?」
「うん、多分。違う?」