先輩、これって恋ですか?
「どう、なんですかね。……自分ではよく分からなくて……。」
そう呟いた後、チラッと、いちごロールパンを見る。──と、さっきよりも押し出されているクリーム。
「もっと仲良くなったら春香ちゃんの、その堅苦しい話し方も抜けてくれるかなー」
「いや、べつにこれは……先輩なので当然の話し方、というか……」
ああ、ダメだ。会話よりもクリームの方が気になって気になって仕方ない。
先輩、落ちる前に気づいて───
「─っぶ、ない。」
いちごロールパンからポタッとクリームが落ちたそれに気がつけば手を伸ばしていて、手のひらではなく人差し指ギリギリに乗っかった。
そんな行動をした自分に少し驚きつつ、先輩の方に視線を向けると、目をパチパチさせていた。
「……ち、智紘 先輩が、よそ見ばかりしていちごロールパンを放置…するのがいけないんですからね」