先輩、これって恋ですか?
「少し前の俺は来るもの拒まずでだらしなかったでしょ。」
「…う、うん…」
「沢田と付き合ったのもそんな感じで。…その時の俺は心が少しだけ歪んでたのかもなぁ」
──そう弱々しく呟く智紘先輩。
わたしよりも少し前にいる先輩の表情は、見えなかった。
─けど、その時に、
わたしの手にギュッと力が入る──
「…でも、そんな時出会ったんだよね」
「出会った…?」
「ああ。…この子、──春香ちゃんに」
──と、わたしを見て柔らかく微笑んだ。