先輩、これって恋ですか?
わたし、自己紹介してないよね…?
意味が分からない、と思っていたそれが顔に出ていたのか先輩は、はははっと笑った。
「思ったことがそのまま顔に出てる。……えっとね、なんで俺が春香ちゃんのこと知ってるのかは、春香ちゃんが入学してくる前からここは俺のお気に入りの場所だったから」
「え……?」
「たまたま俺がここに来るのが遅れた時、すでに春香ちゃんが座ってたんだよね。で、一度だけ学生証落としたことあったでしょ?」
「あ、……。」
そういえばそんなことあった。
それを探しに来たらここのベンチの上に置いてあったんだったっけ…。
「それで名前知ったってわけ。つまりかなり前から春香ちゃんのこと実は知ってたんだ」
「ど? これで納得した?」そう言って、また握手を求めてくる先輩。
「べ、べつに、それ知ったからといって……友達になるつもりは、ないので……」
「もう お互いの名前知ってるのに?」