先輩、これって恋ですか?


「じゃあ名前呼んでみて」



「………久遠 智紘、先輩…。」


かなり小さいわたしの声。

先輩に聞こえただろうか。届いただろうか。

心配になり、スカートの裾をギュッと握りしめると、ふはっ…と上から笑い声がして、“ああ、聞こえたんだ”と安堵した。


「今度呼ぶ時は名前で呼んでね」

「……か、考えておきます。」

「そこははいって言ってよー」


楽しそうに笑っている先輩。


「ちゃんと智紘先輩って呼んでね」


え…… 久遠先輩じゃなくて!?


「春香ちゃん、顔に出てる」

「……む、無理です…っ!」

「慣れてけばいいって」

慣れとかの問題以前というか、そもそもまだわたし友達になるって認めてないし……
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