先輩、これって恋ですか?


渡り廊下を通り抜けて、智紘先輩のうしろをついて行くと、物置みたいな教室にたどり着いた。


「え、ここ…」

「見ての通り今は物置になってるんだけど、この奥に入ってごらん。案外快適で誰にもバレないんだー」


そう言われて足を踏み入れてみると、物置だらけの奥の方は少しスペースがあり、ここでくつろぐ分には十分そうだった。

……って、もしかして先輩…。


「ここでサボったりしてるんですか?」


わたしと目が合うと、ニコリと笑った。

その表現が答えみたいなもので。


「昼のあとって眠くなるじゃん? だから、たまにここで寝たりするんだよね」

「…ほんとにバレてないんですか?」


先生たちはもう呆れて探しに来ないだけとかじゃなくて……。


「それがバレないんだよ。この物置がバリケードになってるおかげで隠れられることができるからねー」
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