刹那な願いは青い空
あれは、八年前___。
あの時私は、〝相原 瀬菜〟という名前だった。
「痛い・・・止めてよ、〝お父さん〟・・・っ」
夜の九時、
当時5歳だった私には
まだ覚えたばかりの言葉で
必死に訴える。
「なんで恵美に似ているんだ・・・
あの美しい顔を思い出す度、
・・・傷つけたくなるよ」
〝お父さん〟が壊れたのは、1ヶ月前。
お母さんが、心臓病で亡くなった時だ。
あの日から、お父さんは変わってしまった。
仕事はせず、
朝から夜遅くまで遊び、
お酒で豹変したお父さんは
帰宅後、私を殴るのだ。
「う・・・っ、」
いつもお父さんはお腹を殴る。
何故なら服で痣が隠れるからだ。
いくらお父さんでも、
これがバレれば大変なことになる事は
分かっていたのだろう。
何故なら、これはもう、
〝虐待〟の域に達していたからだ。
いわゆる、私は
お父さんの〝ストレス発散道具〟なのだ。