Drowse
あれから二日が経った。
僕は最初、アイラに腹を立てていたのでログハウスを出て行こうとした。
けれどドアは外から鍵をかけられていて……僕はその時ようやく、アイラに監禁されていることに気付いた。
窓もしっかりと十字の木の枠で固定されていて、ノコギリでもなければ脱出出来そうになかった。
部屋にあるものと言えばベッドに机、カーペット、火の灯っていない暖炉の様な調度品だけ。使えそうな道具は一切なかった。
二日目の夜、仕方なく僕は寝たふりをすることにした。
気が進まないが、こうなったらまたアイラが入って来た時に強引に部屋を出るしかない。
だがベッドに潜り込んだ瞬間僕を不思議な眠気が襲い……そして気が付くと、アイラがベッドの脇の椅子に座って何かを切り分けていた。
いつの間にか、暖炉には煌々と炎が灯っていて真っ暗だった部屋を照らし出している。
彼女が握る鈍色に光るナイフを見て、僕は思わず飛び起きそうになったが……なぜか体は金縛りに会ったように動かない。
「あら、起こしちゃった? ごめんね、こっそり食事だけおいていこうと思ったのに」
アイラは切り分けていたものを皿に置いて、フォークを添えながら僕に差し出した。
「はいどうぞ。真冬が大好きなアップルパイよ。イブほど上手に出来なかったけど……食べてくれる、かな?」
少し不安そうに言って小首を傾げるアイラは、大人の女性というよりごく普通の可愛らしい少女に映った。
アップルパイから漂ってくる甘酸っぱい芳香は、まるで不思議な魔力を帯びているかのように僕から抵抗力を奪ってしまう。
「……いただきます」
僕は最初、アイラに腹を立てていたのでログハウスを出て行こうとした。
けれどドアは外から鍵をかけられていて……僕はその時ようやく、アイラに監禁されていることに気付いた。
窓もしっかりと十字の木の枠で固定されていて、ノコギリでもなければ脱出出来そうになかった。
部屋にあるものと言えばベッドに机、カーペット、火の灯っていない暖炉の様な調度品だけ。使えそうな道具は一切なかった。
二日目の夜、仕方なく僕は寝たふりをすることにした。
気が進まないが、こうなったらまたアイラが入って来た時に強引に部屋を出るしかない。
だがベッドに潜り込んだ瞬間僕を不思議な眠気が襲い……そして気が付くと、アイラがベッドの脇の椅子に座って何かを切り分けていた。
いつの間にか、暖炉には煌々と炎が灯っていて真っ暗だった部屋を照らし出している。
彼女が握る鈍色に光るナイフを見て、僕は思わず飛び起きそうになったが……なぜか体は金縛りに会ったように動かない。
「あら、起こしちゃった? ごめんね、こっそり食事だけおいていこうと思ったのに」
アイラは切り分けていたものを皿に置いて、フォークを添えながら僕に差し出した。
「はいどうぞ。真冬が大好きなアップルパイよ。イブほど上手に出来なかったけど……食べてくれる、かな?」
少し不安そうに言って小首を傾げるアイラは、大人の女性というよりごく普通の可愛らしい少女に映った。
アップルパイから漂ってくる甘酸っぱい芳香は、まるで不思議な魔力を帯びているかのように僕から抵抗力を奪ってしまう。
「……いただきます」