君の子守唄
始まり

俺の過去

カラン、コロン。

店のドアを開けると、懐かしい音が響いた。

ここを離れて、2年かぁ。




中学を卒業して直ぐ

兄貴に連れられ家を出て、この店に住居を構えた。

初めのうちは兄貴の世話になり

喫茶店をする兄貴の手伝いをしながら生活していた。

昼間は、商店街のおじさん達の憩いの場になり

それなりに繁盛していた喫茶店。

やがて…………常連客もでき、おじさん達の中から

『お酒も扱ってよ!』と言われ

高校を卒業する頃、夜はbarとして開けるようになった。

オシャレなbarという形をとったのは…………

単に俺が、料理が苦手ということの他に

実は………

学生時代からの友達と、兄貴の3人で

探偵もどきの仕事をしているからだ。

元々は、常連客のおじさんに

『かぁちゃんが浮気してるみたいなんだけど………
調べてもらえない?』と言われ

ふざけ半分で始めたものだったが………

やんちゃをしていた頃の顔が役に立ち

ちょっと声をかけると、情報が転がり込んできた。

楽して金になり、相手も喜ぶこの仕事を

ゲームのように気に入った俺達は

いつしか本腰を入れるようになった。

夜を任せてもらい

barのマスターとして独り立ちできるようになった俺は。

色々な人と繋がりをもち

兄貴を頼らず、自分の力で店と探偵の仕事をこなしていた。
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