君の子守唄
ピンポン。

コンシェルジュの東野さんに挨拶すると

一瞬驚いた表情をするけど………。

そこは高級マンションのコンシェルジュを努めるだけあり

直ぐにポーカーフェイスの笑顔を向けてくれた。

「兄貴達、帰ってますよね?」

一応の確認をして、ベルで呼ぶ。

ここは、家を出て少しした時

兄貴が親父から貰ったマンションだ。

日本で数本の指に入る大富豪のお坊っちゃまだけあり

貰うマンションも桁違いだ。

兄貴のマンションが、そのまま新居になっているから

俺にとっては『勝手知ったる』だ。

以前は、モデルルームかと思うほど殺風景だった家も。

二人が一緒に住む頃から、少しずつ生活感が出てきて。

今では、ぬいぐるみとキャラクターで溢れてる。

一人で寂しく生活していた咲は

寂しさを埋めるため、沢山のぬいぐるみを集めていた。

同棲を期に、全てのぬいぐるみを持って来たら…………

大変なことになった。

おまけに、テーマパークにも行ったことのない咲を

休みの度に連れて行き

いつの間にかここが、テーマパークのようになってしまった。
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